WEBデザイナーとイラストレーター自分が目指すならどっちがいいのかな?何が違うんだろう?と疑問や不安を抱えていませんか。
結論から申し上げますと、WEBデザイナーとイラストレーターどちらかを選ぶ大きな基準は「絵が描けるか」どうかです。
当メディアを運営する日本デザインスクールでは多くのWEBデザイナーを輩出していますが、「WEBデザイナーは絵が描けなくても問題ない。絵を描く力は必要がない。」と指導しています。WEBデザイナーとイラストレーターでは、そもそも主な仕事内容が大きく異なるのです。
今回の記事を最後まで読み終えるころには、WEBデザイナーとイラストレーターの違いを把握し、自分に向いているのはどちらなのかがハッキリわかることでしょう。
好きを仕事にしたい、クリエイティブな仕事がしたいと願うあなたが一歩踏み出せるように気になるポイントを詳しく解説したので、ぜひ参考にしてください。
目次
WEBデザイナーとイラストレーターの比較表
まずは、WEBデザイナーとイラストレーターの違いについてまとめてみていきましょう。そもそも、WEBデザイナーとイラストレーターでは、制作するものが違ってきます。
<WEBデザイナーとイラストレーターの制作物の違い>
| WEBデザイナー | イラストレーター |
主な制作物 | WEBサイトやWEB上のコンテンツ | イラスト・アイコン |
同じクリエイティブな職種ではあるものの、「WEBサイトなどのデザインをするか」「イラストを描くか」と、制作するものは全く違います。
WEBデザイナーとイラストレーターの大きな違いが分かったところで、次は仕事内容や収入面など一覧にして比較してみます。
<WEBデザイナーとイラストレーターの比較表>
比較項目 | WEBデザイナー | イラストレーター |
主な仕事内容 | WEB上のあらゆるもののデザイン | WEBや紙媒体のイラスト制作 |
会社員としての活躍 | 〇 | 〇 |
フリーランスとしての活躍 | 〇 | 〇 |
具体的な活躍の場 | ・制作会社 ・事業会社 ・WEBサイト業界 ・SNS業界 | ・出版業界 ・ゲームやアプリ業界 ・アーティスト ・似顔絵 |
会社員平均年収 | 338万円 | 362万円 |
フリーランス平均年収 | 360万円 | 500万円 |
需要・将来性 | 〇 | 〇 |
必要なスキル | ・デザインスキル ・ツールスキル ・コミュニケーションスキル | ・イラストスキル ・ツールスキル ・コミュニケーションスキル |
向いている人の特徴 | ・絵が描けない、描けるけれど苦手な人 ・絵を描くよりもおしゃれやトレンドを追うほうが好きな人 ・タブレットよりパソコン作業が好きな人 | ・絵が描ける人 ・おしゃれやトレンドより絵を描くことが好きな人 ・タブレット使用に抵抗がない人 |
WEBデザイナーもイラストレーターも、会社員としてもフリーランスとしても働ける職業です。ただし、比較表を見てもわかる通り、活躍の場や向いている人の特徴なども異なります。
比較表をもとに、WEBデザイナーとイラストレーターの違いについてより詳しくみていきましょう。
WEBデザイナーとイラストレーターの仕事内容比較
WEBデザイナーとイラストレーターの仕事内容は、ざっくり言ってしまえば「デザインを制作するのか」「絵を描くのか」の違いです。
<WEBデザイナーとイラストレーターの仕事内容比較表>
| WEBデザイナー | イラストレーター |
主な仕事内容 | WEB上のあらゆるものをデザインする | イラストを描く |
具体的な制作物 | ・バナー ・LP(ランディングページ) ・WEBサイト ・サムネイル画像 など | ・挿絵 ・商品パッケージ ・書籍表紙 ・似顔絵 ・アイコン ・ゲーム内キャラや背景 など |
求められる結果 | デザインを通して伝えたいことを的確にユーザーへ届ける | イラストを通して伝えたいことを分かりやすく伝えたり、魅力的なイラストに仕上げること |
絵が描けないとWEBデザイナーになることができないと考えている人もいますが、それは違います。WEBデザイナーになるための条件として「絵が描けるかどうか」は必要ないのです。
上記表にも記載した通り、WEBデザイナーは「デザインを通して伝えたいことを的確に伝えること」が最終目的ですし、WEBデザイナーに絵を描いてほしいと依頼が来ることはほとんどありません。
参考:日本デザイン
- 絵を描くことを仕事にしたいのか
- デザインを仕事にしたいのか
ここを混同せず、自分が毎日生き生きと仕事ができる職業を選んでください。
WEBデザイナーとイラストレーターの働き方比較
WEBデザイナーとイラストレーターは、会社員・フリーランスどちらの働き方もできる職業です。
<WEBデザインナーとイラストレーターの働き方と活躍の場の例>
働き方 | 活躍の場 | 概要 | |
WEBデザイナー | 会社員 | 制作会社 | クライアントの要望に沿ったデザイン制作を行う |
事業会社 | 自社サービスや商品に携わるデザイン制作を行う | ||
フリーランス | WEBサイト業界 | WEBサイトやバナーなどのデザインを行う | |
SNS業界 | SNSアイコンや投稿などのデザイン制作を行う | ||
イラストレーター | 会社員 | ゲーム業界 | ゲーム内キャラクターや背景を描く |
アプリ業界 | アプリ内で使用するキャラクターや挿絵・アイコン等を描く | ||
フリーランス | 出版業界 | 雑誌や書籍の挿絵や表紙を描く | |
似顔絵 | 似顔絵の描写 | ||
作品制作・販売 | 自身が描いた作品の販売 |
WEBデザイナーもイラストレーターも需要がある職業ですので、会社員として活躍したいという場合も豊富な求人の中から選ぶことができるでしょう。
<WEBデザイナーとイラストレーターの求人数比較表(※2024.4.23日現在の情報です)>
WEBデザイナー求人数 | イラストレーター求人数 |
85,799 件 | 24,201件 |
フリーランスの場合、両者とも必要な資格等はありませんので、スキルさえあればいつからでも働き始めることができます。
WEBデザイナーとイラストレーターの収入事情比較
WEBデザイナーとイラストレーターの会社員年収を見てみると、両者に大きな差はありません。
<WEBデザイナーとイラストレーターの年収比較>
| WEBデザイナー | イラストレーター |
会社員の平均年収 | 338万円 | 362万円 |
フリーランスの平均年収 | 360万円 | 500万円 |
フリーランスの場合は単価や案件によって大きく異なるため両者とも一概には言えませんが、一部データを参考に平均年収を算出しています。
フリーランスの場合、イラストレーターのほうがWEBデザイナーより収入が高くなっています。ですがこれは一概には言えず、フリーランスとしてどれだけ稼働しているか・どの程度の単価で何の仕事を受けるかによって大きく変動します。
上記データだけではイラストレーターよりも年収が低いと出てしまうWEBデザイナーですが、当メディアを運営する日本デザインスクール卒業生には、最高月収200万円を達成したシンママや、脱サラして3ヶ月で70万稼いだ男性など、高収入を得ている人も大勢います。(WEBデザイナーとして活躍する方々のインタビュー動画集)
WEBデザイナーでもイラストレーターでも、「稼げるスキル」を身につけていればフリーランスで高収入は目指せるのです。
WEBデザイナーとイラストレーターの将来性の比較
WEBデザイナーもイラストレーターも、現時点ではどちらも将来性は十分にあります。
市場の動きを見ても、WEBデザイナーやイラストレーターなど対面ではないデジタル分野の需要・将来性があると言えるのです。
2020年に経済産業省が実施した「電子商取引に関する市場調査」による物販・サービス・デジタル系分野の市場規模をみてみると、デジタル系の市場規模が大幅に伸びています。
<BtoC-ECの市場規模>
2019年 | 2020年 | 2021年 | |
物販系 | 10兆515億円 | 12兆2,333億円 | 13兆2,865円億円 |
サービス系 | 7兆1,672億円 | 4兆5,832億円 | 4兆6,424億円 |
デジタル系 | 2兆1,422億円 | 2兆4,614億円 | 2兆7,661億円 |
参考:電子商取引に関する市場調査
サービス系は2019年から2021年で約3兆円市場規模が減少している一方で、WEBデザインやイラストレーターも含まれるデジタル系は影響をほとんど受けていないことが分かりますね。
- 様々な場面でWEBサイトやECサイトの構築が欠かせなくなっている
- アプリやゲームなどのIT系ソフト促進でイラスト制作も欠かせなくなっている
これらのことから、WEBデザイナーもイラストレーターも将来性が十分にあるということが言えるのです。
WEBデザイナーもイラストレーターもどちらも「AI参入による需要の低下」を懸念している人が多いと思いますが、AIが普及したとしても、全員が全員仕事がなくなることはないでしょう。
WEBデザイナーに関しては、当メディアを運営する日本デザインスクール代表の大坪も、こちらの動画の中で「AIを使いこなすこと・AIに負けない方向で活動していくことで仕事がなくなることは今のところない」と言っています。
「AIを使いこなす側の人間になる」ということが、WEBデザイナーであってもイラストレーターであってもこれからの時代に重要なポイントとなることは間違いなさそうですよね。
WEBデザイナーとイラストレーターに必要なスキルの比較
WEBデザイナーとイラストレーターに最も必要なのは、「クライアントの要望を実現する」スキルです。
スキルはもちろん、クライアントの要望をくみ取り、それを形にするためのスキルが身についていることが何より大切。
私も職種は違うものの、フリーランスでクライアントワークを行っている身ですが、やはりクライアントの要望を正しく理解し、それに見合う成果物を納品できなければ追加案件もないですし、フリーランスとして活動していくことはできないなと日々感じています。
クライアントの要望を形にするためには具体的にどんなスキルが必要なのか、WEBデザイナーとイラストレーターそれぞれ見ていきましょう。
<WEBデザイナーとイラストレーターに必要なスキル>
WEBデザイナーに必要なスキル | イラストレーターに必要なスキル |
・デザインスキル ・ツールスキル ・コミュニケーションスキル | ・イラストスキル ・ツールスキル ・コミュニケーションスキル |
WEBデザイナーになるためには、デザインスキルはマスト。
- レイアウト
- 文字詰め
- 配色
- フォント
- 写真や画像編集
など基礎スキルの網羅に加え、現場で活躍できる一歩上のレベルまで習得しておく必要があります。
「WEBデザイナーにはコーディングが必要」という情報もありますが、コーディングは基礎知識だけつけておけば問題ありません。まずはデザインスキルを磨き、デザインを形にするツールの操作スキルを身につけておくことが大切です。
左の画像も素敵に見えますが、右のプロデザインと比べるとやはり違いがわかりますよね。
そもそもイラストはアートの部類であり、何をよしとするのか、何をもって上手いと定義するのが難しい分野です。
イラストレーター白書2019の調査結果を見ても、全体の半数を超える53%が「独学で絵を学んだ」と回答していることからも、学校を卒業すれば稼げるというわけではないことが分かります。
とはいえ、フリーでも副業であったとしても明らかに素人レベルのイラストではお金をいただくことはできませんし、クライアントを満足させることもできないでしょう。
そうなるとイラストスキルを磨くと同時に、イラストを描くためのツールを使いこなせるスキルは必要になってきます。
オンラインツールを使う人、油絵具を使う人など表現の方法は様々ですが、自分が使用するツールを使いこなし、思い描いたイラストが形にできるようにしておきましょう。
WEBデザイナーとイラストレーターそれぞれに向いている人の特徴
WEBデザイナーとイラストレーター、どちらに向いているかどうかを決める大きなポイントは、「絵が描けるかどうか」と「絵を描くのが何より好きかどうか」です。
<WEBデザイナーとイラストレーターそれぞれに向いている人の特徴チェック表>
比較項目 | WEBデザイナー | イラストレーター |
絵が描ける | – | 〇 |
絵を描くことが何より好き | – | 〇 |
絵を描くよりおしゃれや流行を追うのが好き | 〇 |
|
パソコンよりタブレット操作が好き・できる | – | 〇 |
タブレットよりパソコン操作が好き・できる | 〇 | – |
WEBデザイナーかイラストレーター、どちらを選ぶのかは「絵を描ける・好き」であることが重要なポイントであるということが表からもわかると思います。
どんな人が向いているのか、なぜ向いていると言えるのか、具体的に解説していきます。
イラストレーターよりWEBデザイナーに向いている人の特徴
イラストレーターよりWEBデザイナーに向いている人の特徴は、「絵が描けるか」そして、「絵を描くよりも好きなことがある」人です。
<イラストレーターよりWEBデザイナーが向いている人の特徴>
- 絵が描けない、描けるけれど苦手な人
- 絵を描くよりもおしゃれやトレンドを追うほうが好きな人
- タブレットよりパソコン作業が好きな人
イラストレーターはそもそも「絵を描く」ことを生業としていますから、絵が描けない、苦手であるという人はあまり向いていません。
「1日中絵を描いているよりも、1日中おしゃれやトレンドをリサーチして考えていたほうが楽しいな」という人も、「絵を描くこと」がメインのイラストレーターより、トレンドを意識してデザインを作り上げていくWEBデザイナーのほうが楽しく続けられるはずです。
日本デザインスクールの卒業生にも、アパレル業界からWEBデザイナーに転身した方もいます。
アパレル業界とWEBデザイン業界では共通点が無いように思えますが、「おしゃれが好き」という気持ちが活かせる職業なんですよね。
仕事にすると1日向き合っていなければいけない事もあるので、長時間作業しても自分が苦しくないほうが楽しく続けられるはずです。
また、WEB上の仕事の場合、イラストレーターはタブレットでも作業ができますが、WEBデザイナーは基本パソコン。
タブレットよりパソコンのほうが使いやすい、苦ではないと感じる人も、WEBデザイナーに向いているといえます。
WEBデザイナーよりイラストレーターに向いている人の特徴
「絵が描ける」そして、「絵が描くことがおしゃれより好きである」という人は、WEBデザイナーよりイラストレーターのほうが向いているといえます。
<WEBデザイナーよりイラストレーターが向いている人の特徴>
- 絵が描ける人
- おしゃれやトレンドより絵を描くことが好きな人
- タブレット使用に抵抗がない人
絵を描くことがメインであるイラストレーターは、絵が描ける、もしくは好きである人でないと続けていても苦しくなってしまうはずです。
今絵がうまい下手に関わらず、1日中絵をかいていても苦しくないという人はイラストレーターの適性があります。
また、イラストレーターはオンライン上の仕事もあるため、タブレットなど電子端末が使える人、抵抗がない人というのも向き不向きの判断材料になります。
多くのイラストレーター作品をまとめたILLUSTRATIONという画集の編集者によると、参加した150名中94名の作家がiPadを使用しているとの結果が出たそうです。
<iPad使用作家数の推移>
| iPad使用者数 | 使用率 |
2019 | 17名/150名 | 約11% |
2020 | 52名/150名 | 約35% |
2021 | 76名/150名 | 約50% |
2022 | 94名/150名 | 約63% |
参考: X
年々iPad使用者が増えているということからも、イラストレーターにとってタブレットは必須アイテムになりつつあることが分かりますよね。
パソコンはもちろん、タブレットなど電子端末に抵抗がないというのも、イラストレーターにとっては重要なポイントになるはずです。
まとめ
今回の記事では、WEBデザイナーとイラストレーターの違いや、それぞれに向いている人の特徴まで詳しく解説しました。
WEBデザイナーは「WEB上のあらゆるものをデザインする」こと、イラストレーターは「イラストを描くこと」が、主な仕事です。
「クリエイティブな仕事がしたい」「トレンドやデザインが好き」「自由に働けそう」などのイメージだけを追って安易に決めてしまうと後悔してしまう可能性があるため、それぞれの特徴をよく理解してから判断しましょう。
WEBデザイナーに興味がある人、もう少し詳しい話を聞きたいなという人は、当メディアを運営する日本デザインスクールで無料開催しているセミナーにもぜひ参加してください。