WEBデザイナーについて調べていると、WEB制作とWEBデザインという表記があることに気付き、「何が違うの?」「どっちを目指せばいいの?」と疑問を持った方がこの記事を読んでくださっているのではないでしょうか。
「WEB制作」と「WEBデザイン」は、状況や人によって異なる意味合いで使われることが多く、これからWEBデザイナーを目指す場合は正しくその違いを判断する必要があります。
そんなに複雑な話ではないのですが、知っておかないと戸惑うことがこれから出てくるはずです。
そこで今回は、「WEB制作とWEBデザインの違い」についてわかりやすく解説していきたいと思います。
<この記事でわかること>
- そもそもWEB制作とWEBデザインに違いはあるのか
- WEB制作とWEBデザインは一般的にどのように使い分けられているのか
- WEB制作とWEBデザインの仕事内容やキャリアパスの違い
- WEB制作とWEBデザイン、あなたに向いているのはどちらか
この記事を読み終えるころには、WEB制作とWEBデザインの違いが明確になり、目指すべき方向性がはっきりイメージできているはずですよ。
目次
WEBデザインはWEB制作プロセスの一部
WEBデザインとWEB制作、この2つは混同されることが多いのですが、厳密に言うとWEBデザインはWEBサイト制作のプロセスのひとつに過ぎません。
WEBサイト制作の工程を大きく3つに分けると以下のようになります。
全体の流れのなかで、WEBデザインの位置付けを確認してみましょう。
- 企画・設計
- デザイン制作
- 開発(コーディング)
*コーディングとは、完成したデザインをWEBブラウザ上で閲覧できるようにソースコード(コンピュータへの指示書)を記述する作業です。主にHTMLやCSSといった言語が使用されます。
分業化が進んでいるWEB業界において、基本的にWEBデザイナーが手掛けるのはWEB制作全体の「デザイン制作」のみ。
ただし、WEB制作とWEBデザインは時に同じような意味で使われることもあり、その違いは曖昧で人によって解釈が異なるのも事実です。
<WEB制作とWEBデザインの違いが曖昧になるケース>
- WEBデザイナーの業務が広範囲に渡る場合
- WEBサイト制作に携わる各職種の総称として「WEB制作」が用いられる場合
- プログラミングスクールによって定義が異なる場合
小規模の制作会社などでは、WEBデザイナーがコーディングまで担当することは珍しくありません。
また、WEB制作に携わる職種(デザイナー、コーダー、エンジニア、WEBディレクターなど)を「WEB制作者」と一括りにされる場合もあります。
プログラミングスクールのなかには、「WEBデザイン=デザイン」「WEB制作=コーディング」と定義しているところもあります。
このようにWEB制作とWEBデザインの違いは、状況によってフレキシブルに変化するのが実状です。
【WEB制作 or WEBデザイン】一般的なイメージの違い
すでにお伝えしたように、WEBデザインはWEB制作の一工程ではありますが、実際には「WEB制作」と「WEBデザイン」それぞれに異なるニュアンスでよく使われています。
例えば、「WEB制作者」もしくは「WEBデザイナー」どちらを名乗るかによって、業務範囲のイメージが異なります。
この記事では、次のように定義して2つの違いを解説していきます。
<一般的にイメージされるWEB制作とWEBデザインの違い>
- WEBデザイナー=デザインを担当する人
- WEB制作者=WEB制作全般に携わる人
ここからは、WEBデザイナーとWEB制作者を5つの角度から比較し、違いを具体的に見ていきます。
- 仕事内容の違い
- 必要スキルの違い
- キャリアパスの違い
- 求人数の違い
- 収入の違い
仕事内容の違い
WEBデザイナー | デザイン制作に特化したスペシャリスト |
WEB制作者 | WEBサイト制作に必要な業務全般を担当 |
WEBデザイナーの役割は、WEBサイトの見た目やレイアウトのデザインです。
Photoshopなどのデザインツールを使用して、ユーザーにとって使いやすく見やすいデザイン(UI:ユーザーインターフェース)を考慮しながら、WEBサイトのビジュアルを作成します。
一方WEB制作者は、サイト全体を構築していく役割を担います。
コーディングのスキルを求められることも多く、HTML、CSS、JavaScriptなどの言語を用いてWEBサイトを開発します。
WEBサイトの機能面を手掛けることも多く、データベースとの連携やバックエンドの処理が業務にも含まれることがあります。
このように、WEBデザイナーは「ユーザーの目に触れる部分」を作るのに対し、WEB制作者は「ユーザーの目に見えない部分」の業務も期待されるのが大きな違いです。
現役WEBデザイナーの声
ビジネスの場で「WEBデザイナー」と名乗っただけでは、自分の役割が相手に正しく伝わらないことが多いです。
私の場合、デザインに特化したデザイナーだと明確に示すようにしています。
「WEB制作ができます」と言うデザイナーは、コーディングまで引き受ける印象が強いです。
必要スキルの違い
WEBデザイナー |
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WEB制作者 |
|
*UI/UXとは、ユーザーの使い心地を追及したデザイン設計
「WEBデザイナー」に求められるスキルは、デザイン制作に特化した深い知識とスキルです。
商業用デザインの知識をもとに、クライアントの求める成果を追求します。
(売上げUPや認知拡大、ブランディングなど)
制作現場でよく使われているデザインツールはPhotoshopですが、IllustratorやFigmaが使われている場合もあります。自分の主力となるツールを難なく使いこなすスキルは必須です。
「WEB制作者」は、WEBサイト制作における幅広い知識とスキルが求められます。
コーディングに必要な言語(HTML、CSS、JavaScriptなど)は必須ですが、それ以外にもバックエンド(サーバーサイド)のプログラミング言語(Java、Ruby、PHP、Pythonなど)の知識も役立ちます。
WEBサイト公開後の運用にも携わるのであれば、マーケティングやWEB広告運用の知識もあると理想的です。
キャリアパスの違い
WEBデザイナー |
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WEB制作者 |
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WEBデザイナーの主なキャリアパスには、UI/UXデザインなど専門性を高めていく道と、制作現場での経験を積みWEBディレクターやWEBプロデューサーなどの上位職にキャリアアップしていく道があります。
WEB制作者の場合、WEBディレクターやWEBプロデューサーなどへのキャリアパスも一般的ですが、エンジニアへとキャリアを伸ばしていくケースも珍しくありません。
WEB制作全般の知識があることから、WEBマーケターなどコンサルタント方面に進むのもいいでしょう。
WEBデザイナー、WEB制作者ともに、企業内でキャリアを積むだけでなくフリーランスとして独立することも可能です。
求人数の違い
WEBデザイン |
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WEB制作 |
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*参考:「求人ボックス」「indeed」「doda」「マイナビ転職」
メジャーな転職サイトで「WEBデザイン」と「WEB制作」それぞれ検索をした結果が上記の比較表です。(2024年10月現在)
WEB制作のほうが業務範囲が広いためWEBデザインの求人数を上回っていますが、WEBデザインにも常に一定の需要があります。
ただし、WEBデザインの求人のなかにはコーディングが業務内容に含まれているケースも多く、デザイン制作に特化するとなるともう少し数が絞られる点には注意が必要です。
クラウドワークス(大手クラウドソーシングサイト)で単発の案件数も調べてみました。
- WEBデザイン:3,973件
- WEBデザイナー:2,080件
- WEB制作:3,084件
- ホームページ制作:818件
- WEB開発:279件
WEBデザインやWEB制作に関連するキーワードで調べてみると、たくさん案件が見つかります。
*クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したい人と仕事を受注したい人をつなげるマッチングサービス
収入の違い
WEBデザイナー | 平均年収:509.3万円 |
WEB制作者 |
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*参考:厚生労働省「jobtag」
厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag(日本版O-NET)の情報をもとに表にまとめました。(2024年10月現在)
WEB制作は、どの工程に携わるかによって平均年収が変わってきます。
比較してみるとWEBデザイナーの平均年収のほうがやや低めですが、WEB系職種は経験やスキル、働き方によって年収に大きな差があるため、平均は目安にすぎません。
フリーランスとして会社員以上に稼ぐ人もいれば、平均収入を大きく下回る人がいることも覚えておきましょう。
ちなみに正社員に絞って調べてみたところ、以下のようなデータが得られました。
- WEBデザイナー:平均年収438万円
- WEBエンジニア:平均年収490万円
- WEBディレクター:平均年収478万円
*参考:「求人ボックス 給料ナビ」
いずれの職種も高い専門性や高度なスキルを身に付ければ、働き方を問わず年収を大幅に上げられます。
WEB制作とWEBデザイン【適性の違い】
WEB制作とWEBデザインを比較してきましたが、それぞれの「適性」にも注目してみましょう。
進みたい道を検討する際のヒントにしてください。
WEB制作者に向いている人
WEB制作者に向いているのは以下のような人です。
- WEBサイト制作に関するマルチなスキルを身に付けたい
- コーディングやプログラミングに興味がある
- 将来的にWEBサイト制作を一手に引き受けたい
- 人とコミュニケーションを取るのが上手
WEBサイト制作に必要な一連の知識とスキルが求められるケースが多いため、コーディングやプログラミングにも抵抗のない人がいいでしょう。
クライアントやチームと協力してプロジェクトを進める場面もあるので、コミュニケーション能力の高さも重要です。
WEBサイトの制作全般に関わりたい人におすすめです。
WEBデザイナーに向いている人
WEBデザイナーに向いているのは以下のような人です。
- デザインのスペシャリストになりたい
- トレンドに敏感でモノづくりが好き
- 細部までこだわりたい職人気質
- ユーザー目線で物事を考えられる
WEBデザイナーはクリエイティブな仕事に憧れている人にぴったりです。
パソコンと向き合う時間が長いので、コツコツ地道な作業も苦にしない人が向いています。
モノづくりにおいて「こだわり」は大切ですが、ユーザー目線であることが重要です。
「デザインで人の役に立ちたい」と思っている人は、迷わずWEBデザイナーの道に進みましょう。
制作現場でマルチな人材になるよりも、デザインのエキスパートになりたい人におすすめです。
WEBデザインからスタートするのがおすすめ
<WEBデザインからスタートするといい理由>
- WEBサイト制作において、デザインは重要な役割を担っているから
- WEBデザインは未経験でも学びやすいから
どちらの道を選ぶにしても、まずはWEBデザインからキャリアをスタートさせるのがおすすめです。
WEB制作において、ユーザーの目に直接触れるWEBデザインはとても重要な要素。
WEBサイトのクオリティや成果を左右するので、WEBデザインの経験とスキルがあればWEB制作者としての信用度が増します。
また、未経験からWEB制作全般を学ぶのはハードルが高く、知識とスキルを習得するのに膨大な時間がかかってしまいます。
WEBデザインなら習得すべきスキルが比較的絞られているため、学びやすい点も魅力です。
コーディングやプログラミングのスキルが必要なWEB制作者よりも習得スピードが早く、時間をかけずにプロデビューできます。
実際に、弊社が運営するデザインスクールはデザインに特化し、未経験からたった45日間でプロデビューを実現させています。
2,500名を超える卒業生の多くがWEBデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、またデザインに隣接する分野のスキルを習得し、仕事の幅を広げている人も少なくありません。
まずは、WEBデザインを足掛かりとしてWEB制作に足を踏み入れてみましょう。
まとめ:どちらかを選ぶなら「何をしたいか」を明確に
ここまで、WEBデザインとWEB制作の違いを整理してきました。
WEBサイト制作にピンポイントで関わるWEBデザインの仕事と、網羅的に携わるWEB制作の仕事。選ぶ際の決め手は「あなたが何をしたいか」です。
2つのキャリアパスをイメージしてみて、心躍るほうを目指せば間違いありません。
WEB制作とWEBデザインの違いをおさらいしておきましょう。
<仕事内容の違い>
WEBデザイナー | WEBサイトのビジュアル面を担当。デザイン制作のスペシャリスト |
WEB制作者 | コーディングを含むWEBサイト制作全般の業務を担当 |
<適性の違い>
WEBデザイナー |
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WEB制作者 |
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どちらの道を選ぶにしても、未経験から始めるならWEBデザインからスタートするのがおすすめです。
新たなキャリアへの第一歩は、まず学ぶことから始まります。
スキルを身につけてあなたの未来を切り開きましょう!