「会社員はもう嫌だ!」
「自由に生きれるフリーランスWEBデザイナーになりたい!」
そう考えている人も多いと思います。
確かに、フリーランスは会社員とは全く違う自由さがあります。
ですが、フリーランスだからこそ会社員よりも辛いな、面倒だなと感じることもあるのです。
筆者も業種は違えどWEB関連職種のフリーランスとして働いている一人ですから、フリーランスの良い面も悪い面も知っています。
そこで今回の記事では、フリーランスWEBデザイナーになる前に知っておいてほしいことを8つ、データや体験談をもとに詳しく解説していきます。
今回の記事を最後まで読むことで、フリーランスWEBデザイナーだからこその辛さもきちんと理解できるはずです。
フリーランスWEBデザイナーになりたいと考えている人は、ぜひ最後まで読んで、フリーランスという働き方についてのネガティブな面も理解してから一歩踏み出してください。
目次
自己管理能力がないと会社員より忙しくなる
フリーランスWEBデザイナーになるためには、自己管理能力が必要です。
会社員であれば就業時間は決まっていますし、自分以外も社員がいるため一人で全てをこなす必要はありません。
自由さは少なくても、自己管理が苦手でもある程度、毎日安定したスケジュールで動くことができるのです。
フリーランスは会社員とは違い、どんな仕事を選ぶのかも、どれだけ仕事を受けるのかも、全て自分で決めることができます。
ですがその分、自分が捌けるタスクの量を把握しスケジュールを組まないと、会社員時代より激務になってしまうのです。
フリーランス白書2023のデータを見ると、平均的な案件同時進行数は1~3件程度という結果が出ています。
参考:フリーランス白書2023
また、株式会社日本アプライドリサーチ研究所の「小規模事業者の事業活動の実態調査~フリーランス事業者調査編」をみると、1日の平均労働時間は8時間が最多。
フリーランスと言っても家事育児と両立できるように働いている人や、大黒柱として働いている人もいるので平均労働時間は一概には言えません。
ですが、上記データを見ると1日12時間以上働いている人も8.5%いることがわかります。
ただしこれら2つのデータは、WEBデザイナーに限ったデータではありません。
WEBデザイナーの場合はどんな案件を受注するかで所要時間や難易度も変わってきます。
下記に記載されている制作時間については個人差がありますが、一つの目安として参考にしてください。
<WEBデザイン案件単価相場と制作時間目安一覧表>
案件 | 単価相場 | 制作時間目安 |
WEBサイト一式 | 40万円~150万円 | 約2~4ヶ月 |
WEBサイトトップページ | 5万円~13万円 | 約2~3週間 |
WEBサイト下層ページ | 2万円~5万円 | 約3週間~1ヶ月 |
バナー制作 | 5,000円~2万円 | 約1~2時間 |
YouTubeのサムネイル | 1,500円~5,000円 | 約30分~1時間 |
LINEのリッチメニュー | 1万円~3万円 | 約1~2時間 |
LP(ランディングページ) | ・PC対応:5万円~20万円 ・レスポンシブ対応:5万円~50万円 | 約1ヶ月 |
ロゴのデザイン | 1万円~8万円 | 約2~3週間 |
日本の平均月収約31万円をフリーランスWEBデザイナーとしてひと月で稼ごうとすると、1ヶ月で制作完了できる案件に絞ってみても、単価を高くする、もしくは複数を同時進行していかないと厳しいことがわかります。
駆け出しのころは単価が低いこともあるので、数をこなすことになるはずです。
そうなると、会社員時代よりもフリーランスのほうが忙しくなってしまったと感じるでしょう。
とはいえ無理に案件を詰め込んで質が下がってしまってはクライアントの信頼を失ってしまうので、自分が無理なく作業できる数と目指す収入から逆算して月のタスクを考えてください。
最初は辛い時期があるかもしれませんが、経験を積んで高単価案件を受注できるようになれば時間にも余裕が生まれるはずです。
一人で黙々と作業する事が多い
フリーランスは、一人でパソコンと向き合い黙々と作業することがほとんどです。
株式会社Lboseが調査した「フリーランスの健康に関する調査結果」をみても、「日々の仕事の中で孤独を感じることがあるか」という質問に「ある」と回答した人が約半数。
参考:PRタイムズ
筆者も、業種は違えどWEB関連業種のフリーランスとして働いています。
ほとんど家で仕事をしているので家族と会話することはありますが、仕事自体は一人です。
分からないことはLINEやchatworkを使い質問はできますが、「話す」わけではありませんし、事務的なやり取りですからそこに「楽しさ」はあまりありません。
辛さや疑問点を隣にいる誰かとすぐに共有することは、できないのです。
- 自宅以外の場所で仕事をする
- SNSやコミュニティを活用する
- 友人と会う機会を増やす
など、フリーランスになってから孤独を感じないために色々と工夫できることはあります。
一人で黙々と作業がしたいという人や、人付き合いが苦手という人にとっては良い環境かもしれませんが、孤独に押しつぶされないような工夫も取り入れていきましょう。
積極的に動かないと仕事はもらえない
フリーランスWEBデザイナーは、自ら積極的に動いていかないと仕事を獲得することはできません。
会社員WEBデザイナーであれば、仕事を獲得してきてくれる営業担当がいて、取ってきてもらった仕事をこなすだけで給与がもらえます。
ですがフリーランスの場合は、WEBデザインも、仕事の獲得も、全て自分で行わなければいけません。
ただ座っているだけで、仕事がどんどん回ってくるということはないのです。
とはいえ、「フリーランスWEBデザイナーになったら営業をしなければいけない」という訳ではありません。
現役プロWEBデザイナーも、「スキルさえ磨けばガツガツ営業をしなくてもWEBデザインの案件を取ることはできる」と動画内で話しています。
動画内でも案件獲得方法について触れられていますが、フリーランス白書2024のデータでも、フリーランスが仕事を獲得する経路として最も多いのは人脈(知人からの紹介)でした。
一方、最も収入を得られる仕事の獲得経路は「過去・現在の取引先」という結果になっています。
参考:フリーランス白書2024
過去・現在の取引先が最も収入を得られる仕事の獲得経路であるということは、「クライアントが納品物に満足している」状態です。
つまり、先ほど紹介した動画で言っていたようにスキルがあれば高単価案件もスムーズに受注できるということです。
とはいえ最初の案件獲得をスムーズに進めるのであれば人脈も欠かせませんから、今会社員WEBデザイナーとして働いているのであれば、今のうちから人脈を作っておくと良いでしょう。
今からWEBデザイナーを目指すのであれば、スクールのコミュニティやSNSを活用し自分の存在をアピールして人脈を獲得していく行動をしていくことが大切です。
人脈が広げられないと悩んでいる人は、クラウドソーシングサイトやココナラを活用してみましょう。
当メディアを運営する日本デザインスクールの卒業生である寺内さんも、人脈ゼロの状態からココナラを使い累計15万円を稼ぐことに成功しています。
どんな形であれ、フリーランスWEBデザイナーになる場合は、自ら積極的な行動を起こしていく姿勢を忘れないでください。
常にアンテナを張っておく必要がある
フリーランスWEBデザイナーは、常に最新の情報を追い学び続ける姿勢がないとあっという間に取り残されてしまいます。
最近ではAIもWEBデザイン業界に浸透してきていますし、制作を依頼されるデザインの種類も変わってきています。
そのため、時代に合ったWEBデザイン制作をできるように常にアンテナを張り、自分も使いこなせる(制作できる)ようになっておかなければ案件を受注しづらくなってしまうのです。
こちらの動画でも、現役プロWEBデザイナーが「WEBデザイン業界の業界の変化が激しいこともWEBデザイナーが辞めとけと言われる理由のひとつ」とおっしゃっています。
とはいうものの、業界がガラッと変わるのではなく、WEBサイト制作がメインだったのがYouTubeサムネイルやLINE@のリッチメニューが増えたなど制作物の形が変わる事が多いとのこと。
基本的なWEBデザインスキルが身についていればそこまで慌てることは無いともおっしゃっているため、まずは基本をしっかり学んだうえで、時代にあった制作物の作成ができるようにしていくことが大切です。
WEBデザイン業務以外の事務作業も全て自分
フリーランスになった場合、WEBデザインや案件獲得だけでなく、事務作業も全て自分で行う必要があります。
会社員であれば、事務担当の人に手続きを任せることができますよね。
契約書の作成など細かな書類作成だけでなく、税務的な処理も自分でやったことがないという人も多いのではないでしょうか。
フリーランスになったら、そのような事務作業も全て自分で行わなければいけないのです。
<フリーランスが自分で行うべき事務作業の例>
- 請求書の発行
- 契約書の作成
- 確定申告
など
特に確定申告においては、難しい・面倒だというイメージを持っている人も多いと思いますし、実際に辛いと感じることがあるでしょう。
筆者もフリーランスになって一番大変だった事務作業は、確定申告です。
また、2023年10月1日より始まったインボイス制度の導入でフリーランスの確定申告がさらに大変になっています。
日本デザインが行った「フリーランスを対象とした2023年度の確定申告に関する実態調査」によると、インボイス制度導入前に確定申告に書けていた時間は10時間未満が36.7%。
参考:PRタイムズ
しかしインボイス制度導入後の確定申告においては、導入前より所要時間が増加したと回答しているのが全体の約75%にものぼります。
参考:PRタイムズ
確定申告にかかる時間の増加と共に、インボイス制度導入により確定申告がより面倒になったと回答した人も全体の約75%。
参考:PRタイムズ
これらのデータをみても、フリーランスWEBデザイナーとして活動していくのであれば、確定申告を含めた事務処理の負担は大きいことがわかるでしょう。
ですが、確定申告は会計ソフトや税理士に依頼することもできます。
<会計ツールと税理士依頼の確定申告の相場>
会計ソフト | 税理士 |
無料~20,000円前後 | 約100,000円 |
会計ソフトは数値を入力するだけで確定申告をしてくれるので、打ち込む手間はあるもののとても便利です。
筆者も現在は、会計ソフトを利用しています。
税理士に依頼した場合はやはり高くつきますが、自分で行うことは請求書の管理・提出だけで済むため面倒な作業は一切いりません。
上記と同じく日本デザインの調査でも、今後の確定申告に関して会計ソフト等を活用したいという人が37.6%。
税理士に依頼したいという人も、20.2%います。
参考:PRタイムズ
事務作業は会社員ではあまり感じない、フリーランスならではの面倒ごとです。
しかし外注もできるので、費用と相談し自分が辛くない方法を選ぶこともできます。
付き合う人は選べるが人付き合いゼロにはできない
フリーランスは付き合う人は選べるものの、人付き合いをゼロにすることはできません。
人付き合いが苦手だからフリーランスWEBデザイナーになりたいと思った人も、多いのではないでしょうか。
ですが、フリーランスこそコミュニケーション能力が重要なのです。
フリーランスになった場合、会社員とは違い自分で仕事を獲得していかなければいけないということは先の見出しでもお伝えしました。
そしてその仕事は、全てクライアントが存在する仕事。
自分から営業をするにしても、SNSなどをみてクライアントから連絡を頂くにしても、どんな場合でもクライアントとのコミュニケーションが必要ですよね。
日本デザインが行った「ポータブルスキルの必要性に関する調査実施」でも、「フリーランスとして継続して仕事をする際に必要なスキルはデザインスキルよりポータブルスキル(どんな環境でも活かすことができるスキル)」と答えたのが全体の約65%。
参考:PRタイムズ
そしてそのうち、ポータブルスキルの中でも重要なのはコミュニケーション能力だと回答した人が69.7%にものぼります。
参考:PRタイムズ
なぜフリーランスこそコミュニケーション能力が重要で、人付き合いをゼロにできないのかというのは、案件を獲得する手段に関係しています。
「3.積極的に動かないと仕事はもらえない」でも解説した通り、フリーランスが案件を獲得する経路、そしてより高単価な案件を獲得する経路として多いのは人脈、そしてクライアントからの継続依頼。
つまり、多くの人やクライアントと良好な関係を築けるかどうかが、フリーランスとして活躍できるかのポイントなのです。
こちらの動画ではフリーランスWEBデザイナーが稼げない理由について現役プロWEBデザイナーが解説していますが、稼げない理由の一つとして「人と交流しないから」ということがあげられています。
フリーランスになれば人と関わらなくて済むと思って転身してしまうと、より積極的な交流が必要になるため辛いと感じてしまうでしょう。
とはいえ、付き合う人は選べるので、会社員時代のように閉鎖的な空間でストレスを感じることは少ないはずです。
人付き合いゼロで進めてしまうと、最悪の場合案件が受注できず稼げなくなってしまうこともあるため、付き合う人は選べるけれど人付き合いは必須ということを覚えておいてください。
必要なものやかかる経費は全て自己負担
フリーランスの場合、移動にかかる費用や備品の購入など、全て自己負担になります。
会社員であれば必要経費として支給してもらえることもありますが、フリーランスの場合はそうはいきません。
何か購入するときには、全額自己負担です。
ですが確定申告で申請することで節税にはなるため、仕事に関わる出費をしたときには、必ず領収証を取っておいてください。
<フリーランスが経費として扱えるものの例>
- パソコン購入費用
- ソフトウェア購入費用
- 打ち合わせのための飲食費用
- セミナー受講費用
- 会計ソフト利用料
など
社会的信用を得るのは難しい
フリーランスは会社員に比べ、社会的信用を得るのは難しいです。
ここでいう社会的信用とは、ローンが組めるか組めないかなど金融機関から得られる信用のことを指しています。
会社員は毎月給与が支払われるため安定した収入がある=支払い能力があるとみなされます。
ですがフリーランスは、毎月決まった額をもらえる保証はありません。
そのため、支払い能力に疑いがあるとみなされ、ローン審査が通りにくくなってしまうのです。
フリーランスWEBデザイナーとして沢山稼いでいるから大丈夫、というわけでもありません。
例えば今年収1,000万円を稼いでいたとしても、来年も同じだけ稼げるのかという不安点が残るため、フリーランスとして社会的信用を得ることは難しいのです。
とはいえ、絶対にフリーランスが各種ローンを組めない訳ではありません。
実際にフリーランスでも住宅ローンや各種ローンを組めたという人は、数多くいます。
Xなどを見てても、どうすれば絶対にフリーランスでもローンが組めるのかなど決定的なことはわかりませんでした。
フリーランスでローンが組めた人も、組めないと社会的信用の無さを嘆く人も、半々な印象です。
三井住友カードのコラムには、カードローンの審査においては以下3つの点をチェックすると記載してありました。
<ローンチェック項目>
項目 | 内容 |
信用情報 | 過去の返済遅延等が無いか |
借り入れ状況 | 年収1/3を超える借り入れが無いか |
本人属性 | 毎月安定した収入があるか |
参考:三井住友カード
銀行やカード会社のコラムを見ても、上記3つにおいて確認するという記載は共通しているため、定義上は上記をクリアすればローンは通るのでしょう。
とはいえ、フリーランスはやはり「本人属性」については提示するのが難しいことが多いです。
そのためやはり、フリーランスWEBデザイナーになったらローンが組めないかもしれないということを頭に入れ、資金繰りを考えていく必要があります。
まとめ
今回の記事では、フリーランスWEBデザイナーになる前に覚えておいてほしい8つのことを詳しく解説しました。
<フリーランスWEBデザイナーになる前に覚えておいてほしいこと>
- 自己管理能力がないと会社員より忙しくなる
- 一人で黙々と作業する事が多い
- 積極的に動かないと仕事はもらえない
- 常に学び続ける姿勢がないと取り残される
- WEBデザイン業務以外の事務作業も全て自分
- 付き合う人は選べるが人付き合いゼロにはできない
- 必要なものやかかる経費は全て自己負担
- 社会的信用を得るのは難しい
フリーランスは自由で会社員より楽しいというイメージがあるかもしれませんが、フリーランスだからこそ辛い面もあるのです。
ですが工夫をすることで、辛さや面倒を軽減することもできます。
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