WEBデザイン制作には、クライアントへのヒアリングがつきものです。
「質問事項や準備すべきことがわからない」という悩みや、「緊張して失敗してしまうかも」といった不安を持つ人も多いかもしれません。
効果的にヒアリングしクライアントに喜ばれるデザインを制作して、さらにリピートにつなげられたら……、とても理想的でうれしいですよね。
そこで本記事では、ヒアリングに悩むWEBデザイナーに向け「成功につながるヒアリング術」を解説します。
内容は、大きく分けて次の3点。
- ヒアリングに向けた事前準備
- ヒアリングの基本項目
- ヒアリングのマインドセット
現役で活躍するWEBデザイナー11人に聞いた、リアルで実践に役立つ内容です。
ぜひ、あなたのWEBデザイン制作に活かしてくださいね。
目次
現役WEBデザイナー11人に聞いた「成功につながるヒアリング術」
WEBデザイン制作には、クライアントへのヒアリングがつきものです。
「質問事項や準備すべきことがわからない」という悩みや、「緊張して失敗してしまうかも」といった不安を持つ人も多いかもしれません。
効果的にヒアリングしクライアントに喜ばれるデザインを制作して、さらにリピートにつなげられたら……、とても理想的でうれしいですよね。
そこで本記事では、ヒアリングに悩むWEBデザイナーに向け「成功につながるヒアリング術」を解説します。
内容は、大きく分けて次の3点。
ヒアリングに向けた事前準備
ヒアリングの基本項目
ヒアリングのマインドセット
現役で活躍するWEBデザイナー11人に聞いた、リアルで実践に役立つ内容です。
ぜひ、あなたのWEBデザイン制作に活かしてくださいね。
WEBデザイナーがヒアリング前にすべき3つの準備
WEBデザイナーがヒアリング前にしておくべき準備とは、次の3点。
- )クライアントの会社や業界について理解を深める
- )ヒアリングシートを作成する
- )参考資料を用意する
ヒアリングをスムーズに進め、その効果を十分にWEBデザインに活かすには、しっかりと準備しておくことが大切です。
ここで詳しく解説していきます。
- 準備事項1_クライアントの会社や業界について理解を深める
まず大切なのは、事前にクライアントに関することをできる限り知っておくことです。
ヒアリングでの聞き取り内容と被っていても構いません。ヒアリングしながら、クライアントに共感したり、話を深掘りしたりできるためです。
議論が活性化し、よりデザイン制作に役立つ情報を得やすくなります。
また、クライアントから、話のわかる人・自分のことを理解しようとしてくれる誠実な人だと感じてもらえ、信頼関係を築きやすくなるのです。具体的には、次のようなことを調べたり、検討したりしておくのがおすすめです。
調査・検討事項 | 内容例 | |
1 | クライアントのビジネス内容 |
|
2 | クライアントのビジネス市場 |
|
3 | クライアントの既存のWEB媒体 |
|
4 | 競合他社 |
|
5 | クライアントのビジネスモデルに近い他社 | WEB媒体の様子や傾向
|
- 準備事項2_ヒアリングシートを作成する
事前に作成したヒアリングシートを活用すれば、確認漏れを防げ、クライアントとの合意事項や打ち合わせ内容の記録にもなります。
また、ヒアリングシートに沿って話を進められるため、落ち着いてヒアリングに臨みやすくなります。基本的なヒアリング項目は、次の章で解説するため、ぜひ参考にしてください。
ヒアリングシートを作成するときは、次のポイントをおさえましょう。
1 | クライアントがWEB制作やデザインに詳しくない、という想定で作成する |
2 | 緊張してしまっても内容を把握できるよう、本番の状況を想像しながら、具体的かつ簡潔に作る |
3 | ヒアリング事項を、進行予定順に並べる |
4 | 質問事項ごとに、次の記載欄を設ける
|
5 | 専門用語をチェックし、当日必要に応じ解説する |
6 | クライアントが回答しやすいよう選択肢を用意する
|
- 準備事項3_参考資料を用意する
参考になる資料を示しながらヒアリングすると、クライアントがWEB制作に慣れていなくてもスムーズに進められます。
初めて制作するときは手間がかかりますが、一度用意すれば繰り返し活用でき便利です。資料は、ノートパソコンやタブレットに保存してクライアントに見せる・プリントアウトする等、都合に合わせて用意してください。
文字だけでなく、図やイラストも入れるほうが、わかりやすくておすすめです。案件やクライアントによりますが、具体的には、次のような資料が考えられます。
- WEB媒体の種類と実例
- サーバーとドメインの関係・役割・仕組み
- CMSの仕組みと実例
- レスポンシブデザインの仕組みと実例
- コンテンツの種類と実例
- イメージワード・カラー・フォントの参考実例
- 制作物や規模による報酬設定(設定している場合)
- 納品・支払いまでのスケジュール目安
WEBデザイナーがヒアリングすべき8つの基本項目
WEBデザイナーがヒアリングで聞くべき基本的な項目は、次の8点。
具体的な内容は、次に解説していきます。
- )業務内容
- )何を制作したいのか
- )制作目的は何か
- )制作物のイメージ
- )対象者・ターゲット
- )素材
- )予算
- )スケジュール・連絡方法
なかには、コーディング・ライティング・マーケティングといったスキルを組み合わせて活動している人もいるかもしれません。
その場合は、必要に応じ、項目や内容を追加・修正して活用してください。
ヒアリング当日は、あいさつのあと、いきなり本題に入らず、雑談などでアイスブレイクし緊張感を和らげると、スムーズにヒアリングできます。
わからないことや即答しにくい質問を受けた場合は、その場でなんとか回答しようとせず、いったん持ち帰り後日回答しましょう。
デザイナー経験が浅い場合でも、堂々と自信を持ってヒアリングを主導することが大切です。
落ち着いて対応することで、クライアントに安心感・信頼感を与えられます。
- ヒアリング項目1_業務内容
あいさつとアイスブレイクで雰囲気が和らいだら、業務に関する内容を教えてもらいます。
具体的には次のようなことです。
- 制作物で表現するサービスや商品の内容
- サービスや商品の提供・販売方法
- サービスや商品に込められた思い
- 事業全体の内容や目指していること
クライアントが大きな企業の場合、ヒアリングに応じる担当者、WEB制作を企画する担当者・最終決定者が別々ということもあり得ます。
それぞれの担当者が誰かや、決定の流れを確認しましょう。
最終決定者の思い・好みなども聞ければ、デザイン制作の参考になります。
クライアントが個人経営者の場合は、次のことを聞くのもおすすめです。
- 今の仕事を始めた理由や経緯
- 仕事に込めた思い
会話を通しクライアントの思いや好みなどの情報を得ることで、デザインのイメージや方向性をつかめます。
また、クライアント自身の話に耳を傾け会話を重ねることで、安心感や信頼感を高められ、あとの事務的な話もスムーズにしやすくなるのです。
- ヒアリング項目2_何を制作したいのか
次に、制作物は何かを聞きます。
具体的には、次のようなWEB媒体が考えられます。
- ホームページ
- コーポレートサイト
- オウンドメディア
- ECサイト
- ランディングページ
- バナー
- ユーチューブのサムネール
新たに制作するのか、既にあるものをリニューアルしたいのかを聞き、それぞれ必要事項を確認することも必要です。
WEBサイト制作の場合、少なくとも次の事項を確認します。
デザイン外の業務をどこまで担うかは、WEBデザイナーごとに異なります。
誰がどこまで手配するのかについても、一つひとつ明確にし、思い込みや行き違いによるトラブルを防ぐことが大切です。
【WEBサイトを新たに制作する場合の確認事項】
確認事項 | 確認内容 |
サーバー |
→未契約の場合
|
ドメイン |
→未取得の場合
|
CMS |
→導入する場合
|
コーディング |
→コーディングできる人がおらず、かつCMS導入なしの場合
|
【WEBサイトをリニューアルする場合の確認事項】
確認事項 | 確認内容 |
サーバー |
→継続しない場合
|
ドメイン |
→継続しない場合
|
既存のCMS |
→継続または変更の場合
|
コーディング |
→コーディングできる人がおらず、かつCMS導入なしの場合
|
既存サイトのデータ |
→移行する場合
|
【WEB媒体全体に共通する確認事項】
レスポンシブデザイン | レスポンシブデザインにするか →レスポンシブデザインにする場合 画像容量・フォント種類やサイズ・文章量などが、モバイルフレンドリーになるよう配慮しつつヒアリングを進める |
更新や継続的サポート |
→更新やサポートも自分に依頼される場合 別途あらためて契約内容を交渉する |
- ヒアリング項目3_何を目的に作るのか
制作物がわかったら、「実現したいことは何か」といった、制作目的を聞き取ります。
例えば、次のようなことが考えられます。
- 商品やサービスを販売したい
- 商品やサービスへの売り上げを伸ばしたい
- 既存デザインの問題点を解消したい
- 企業の存在や理念を多くの人に知ってほしい
- 企業のイメージUPを図り、好印象・高評価を得たい
目的が確認できたら、目的を達成するために必要となるコンテンツも聞いていきます。
コンテンツとは、主に次のようなWEBサイト等の内容のことです。
WEB媒体 | コンテンツ例 |
ホームページ |
|
| コーポレートサイト | |
| ランディングページ |
バナーやユーチューブのサムネールの場合は、必須の記載事項とユーザーに最も伝えたいことを確認します。
さらに、クライアントが、制作物により目的を実現しようとする背景や思い・市場の様子なども聞き取りましょう。
話を掘り下げることで、クライアントの目的達成を実現するのに最適な制作物や、コンテンツのイメージ・設置方法などを提案できます。
プロ視点で新たに提案することで、クライアントの視野が広がり、クライアントの想定以上の結果にもつなげられるのです。
- ヒアリング項目4_制作物のイメージ
制作物が決まったら、クライアントの持つイメージを教えてもらいます。
確認事項は、次のようなことです。
- ベースとなるイメージカラー
- フォントの種類・サイズ・カラー
- 全体的な雰囲気
かっこいい・かわいいなどは、人それぞれイメージが異なり、赤や青といった色も、明度や彩度の違いで印象は大きく変わります。
クライアントの言葉から自分なりに解釈してしまうと、後々トラブルになりかねません。
クライアントからイメージに近いサイトを教えてもらったり、デザイナーが用意した具体的イメージから選んでもらったりして、感覚を具体的に共有することが大切です。
【デザイナーが用意する具体的イメージの例】
イメージワード | かっこいい・かわいい・ポップ・高級感・健康的・爽やか・清潔感・癒し・安心感・信頼感など |
カラー・フォント | イメージワードを表現できるおすすめのカラーやフォント |
参考サイト | イメージワードを表現している既存のWEBサイト |
注意点としては、「クライアントの好みを全て受け入れることが、ベストとは限らない」ということです。
ユーザー視点での見やすさ・使いやすさや、競合他社サイトとの差別化やクオリティUPといった視点も必要なためです。
クライアントの思いを受け止めつつ、クライアントの目的達成につながるデザインを提案していきましょう。
- ヒアリング項目5_対象者・ターゲット
クライアントがサービスや商品を売り込みたい対象者・ターゲットについて具体的に聞きます。
例えば、次のような項目です。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 家族構成
- 生活スタイル
- 地域
対象者・ターゲットごとに、興味を引くカラー・フォント・雰囲気、使いやすいサイト設計などが変わります。
クライアントのメッセージを、対象者・ターゲットに明確に届け、心に響くようなデザインになるほど、目標達成につながりやすくなるのです。
そのため、対象者・ターゲット像をできるだけ詳細に掘り下げ、好みや使い勝手の傾向などを洗い出しましょう。
場合によっては、先に決めたコンテンツやイメージなどを見直す必要もでてきます。
- ヒアリング項目6_素材
クライアントから提供してもらう素材を確認します。
例えば、次のようなものです。
- 企業のロゴ
- 商品画像
- 建物・スタッフ・作業工程などのイメージ画像や動画
- 原稿
既にあるものは、デザイン制作に入るときに提供してもらいましょう。
併せて、次の点を確認しておく必要があります。
- 提供素材を配置する場所
- 配置にあたり配慮すること
素材のほか、会社の概要・理念・キャッチコピー等がわかるパンフレットなども提供してもらえば、デザイン制作の参考になるためおすすめです。
もし、これから画像や原稿を撮影・作成するという場合は、いつ頃提供可能かどうか確認しておきます。
- ヒアリング項目7_予算
どの程度の予算で考えているのかを確認し、報酬金額の目安を共有します。
制作物・規模等により報酬額を設定しているデザイナーは、この段階で想定される制作物・規模に応じた金額を伝えます。
もし、デザイナー側で特に決まった報酬額を設定していない場合は、あらかじめ制作物の相場金額を調べ、見当をつけておきましょう。経験の浅いデザイナーでも、遠慮して金額をクライアント任せにしたり、相場より低すぎる金額を伝えたりするのはおすすめできません。
「自分のスキル+労力」に見合う金額を堂々と伝えるほうが、かえって信頼を得やすくなります。最終的な報酬額は、ヒアリング後にデザイン案にOKをもらい、あらためて何をどこまで制作するのか確定してから決定します。
報酬額の正式決定前に制作を開始してしまうと、後々トラブルのもとになるため注意しましょう。
- ヒアリング項目8_スケジュール・連絡方法
【スケジュール】
納期は、クライアントと調整の上、できる限り具体的な日付で設定します。
クライアント側から特に納期日の指定がない場合もあるかもしれません。
その場合は、いつ頃までに公開したいかを確認し、遅くとも公開予定日の1週間前までには納品できるスケジュールを提案しましょう。できるだけ余裕をもって納期を設定し、期日よりも早めに納品するのがおすすめです。
好印象や信頼度UPにつながり、リピート率を上げられます。【連絡方法】
今後滞りなく連絡できるよう、次のように具体的に確認します。
- 担当者の氏名と所属部署
- 連絡の取りやすい手段(電話・Eメール・ChatworkやLINEといったコミュニケーションツール・SNSなど)
- 連絡可能な曜日や時間帯
クライアントに喜ばれるデザインができるヒアリングマインドセットは「協働意識」
「クライアントの目標や課題を対話を重ねつつ共有し、ともに協力して最善の制作物を創り上げる意識」
これは、活躍中のWEBデザイナーの多くが大切にしているヒアリングのマインドセットです。
事務的に質問し、クライアントの答えを淡々とメモするだけでも、デザイン制作はできてしまいます。
しかしそれでは、クライアントの抱える問題や希望を汲み取りきれず、心から満足してもらうデザインにつなげるのは困難です。
「思っていたものと違う」といったクレームになりやすく、クレームにならない場合も、リピート率は低くなってしまいます。
一方、マインドセットを意識しつつ、誠実にコミュニケーションを重ねれば、ヒアリングによってクライアントとの信頼関係を深めることも可能です。
信頼関係が深まれば、得られる情報量が増え、情報の質も高まります。
その情報をWEBデザインに反映すれば、クライアントの期待以上の結果を作り出すこともできます。
信頼でき期待以上の制作物を納品してくれるデザイナーと評価され、リピートにもつながるのです。
「ヒアリングの段階から、『クライアントと協働する』というマインドで取り組むこと」
クライアントに心から喜ばれ、リピートされるWEBデザイナーは、このような心がけをしています。
まとめ
WEBデザイナーがヒアリング前にすべき準備は、次の3点。
- )クライアントの会社や業界について理解を深める
- )ヒアリングシートを作成する
- )参考資料を用意する
WEBデザイナーがヒアリングで聞くべき基本的な項目は、次の8点。
- )業務内容
- )何を制作したいのか
- )目的は何か
- )制作物のイメージ
- )対象者・ターゲット
- )素材
- )予算
- )スケジュール・連絡方法
ヒアリングでは、必要情報を聞き取る他、「クライアントとコミュニケーションを図ること」や「お互いの思いや感覚を共有すること」が重要です。
そのためには、事前準備で得た知識を使い、会話を深掘りしていくこと。
クライアントの安心感や信頼感を高められ、より質の高い情報を得て、期待以上のデザインを制作することも可能です。
活躍しているWEBデザイナーが心がけるヒアリングのマインドセットは、「クライアントの目標や課題を対話を重ねつつ共有し、ともに協力して最善の制作物を創り上げる」という意識です。
ヒアリングの段階から、協働意識を持って誠実に対応していくこと。
クライアントに心から喜ばれ、リピートされるWEBデザイナーになるには、このような心がけが大切です。
